HOME >>BMW 3シリーズ情報 >>なぜターボを!?BMW 335iクーペを萩原秀輝が斬る
なぜターボを!?BMW 335iクーペを萩原秀輝が斬る*500円マックカードプレゼント付*自動車保険見直しキャンペーン DrivingFuture - 2006年11月8日 BMWがこのたび送り込んだ3シリーズの最上級レンジ、335iクーペは、BMWにとって久々のターボエンジンを搭載して登場した。次期M3用エンジンと噂されていた直6直噴ツインターボ、それが“素の3”に搭載されたことも驚きだが、そこに隠された技術の数々には、もっと驚かされる。
そう思ってしまっても無理はない。BMWがこのたびリリースした335iクーペが搭載するエンジンは、BMWにとって史上希なターボチャージャー付き。それだけに、その採用にあたっては疑問を持った人が少なくないはず。リポーターもその一人だった。 だが、この直列6気筒の3リッターエンジンは、ありきたりの技術で成り立っているわけではないことに注目する必要がある。たとえば、ツインターボ化にしてもそう。この技術はタービン径の小型化によりアクセル操作に対する応答性の改善に効果的だ。これだけでは特別な技術とはいえないが、335iクーペのエンジンはアクセルを踏み込んだときの対策にとどまらない。それこそスタンバイ状態のタービン回転数からこだわっているのだ。 どういうことかというと、一般的なターボチャージャーのタービン回転数は、アイドリング状態で1分間に数百回転だといわれている。ところがBMWはそれを1万回転近くまで上げているのだ。したがって、アクセルを踏み込めば瞬時に過給が立ち上がるようになっている。日本の某社が開発中の超高性能エンジン搭載モデルは、アイドリング状態のタービン回転数を上げるためにモーターで余回転を与える技術を採用するといわれている。それと同様の効果を得ているということだ。 直噴採用による効果も見逃せない。燃料噴射の量とタイミングと回数、さらに噴射圧力と噴射状態を最適化する技術であり、その効果は広範囲に及ぶ。このBMW自社開発の直噴技術があったからこそ、ターボチャージャーの採用が実現したといってもいい。 しかも、既存の技術であるダブルVANOSとの高精度な協調制御も行っている。アクセルを踏み込むと1回の爆発行程で最大で3回噴射される制御を生かし、最後の噴射のタイミングに合わせダブルVANOSの吸排気バルブ制御を協調。瞬間的に燃焼室にフレッシュエアを導入し、アフターバーンを発生させることで排気エネルギーを一気に高めタービン回転数を上昇させることに成功しているのだ。この技術は、アクセル操作に対する応答性の改善に画期的な効果をもたらしているはずである。当然、排気温度が上がりターボチャージャーの熱負担が増大するが、その部分の対策にも抜かりはない。そもそも、ターボチャージャーの耐熱性を向上させたからこそ、一般的なターボチャージャーのように高負荷時のガソリン冷却の必要がなく、燃費の改善にも結び付いてくるのだ。
こうした独自技術の数々が、ターボチャージャーの採用にBMWを踏み切らせたわけだ。もちろん、ターボチャージャーの課題を克服しただけではなく、これまでの常識を越える魅力を引き出している。実際に、アクセル操作に対する応答性で、いわゆるターボラグを意識することがない。あえてスイッチ操作のようなアクセルの踏み方をすると、トルクの立ち上がりに段付きを感じる。それが違和感となるものの、応答の遅れとは無縁だ。その違和感にしても、アクセルの踏み方に問題があり、スイッチのような操作をしなければ、それこそ1000rpm台からでも過給効果が立ち上がるのに合わせてトルクが上昇する。 同時に、バオーンという迫力ある低周波の排気サウンドが響く。言い換えれば、ターボチャージャーのキーンというタービン音が最小限に抑えられているということだ。だからいい意味でターボチャージャーの存在を意識しない。しかも、わずか1300rpmから5000rpmまで40.8kg-mという最大トルクを発生、いうなればこのエンジンは究極のフラットトルク型なのだ。それはつまり、トルクを回転数に置き換えて超リニアなパワー特性が得られることを意味する。ある回転域から急激に力強さが盛り上がるような過給効果を感じない一方、ハンパな自然吸気式よりもそれらしくエンジン回転数でキッチリとパワーを稼げる。 なおかつ、このエンジンは高回転域でもトルクの落ち込みが少ないだけに、パワーが頭打ちにならないのだ。バオーンという排気サウンドが、高回転域ではクオーンという超高密度な鼓動を想像させるサウンドに変わり、一気にレブリミットの7000rpmを極める。ターボチャージャー付きになったことで得たものは大きいが、失ったものは何一つないことが335iクーペが積むエンジンの特徴なのである。 さらに、このエンジンには最新の6速ATが組み合わされている。Z4や130iが採用するスポーツATとも別物であり、ドライバーのシフト操作に0.1秒で反応する。一般的なATの応答性を半分にしたといってもいい。体感的にも、あらゆるトランスミッションの中で最速であり、それでいて無段変速的ではなくギアが変わるメリハリ感がある。シフトダウンの際には、自動的にエンジン回転数を瞬間的に上昇させる。このあたりの演出は、走りのリズムを刻むという意味でも効果的だ。そのため自らシフト操作をしているという手応えは、CVTやDGS以上だと思う。 さて、エンジンとトランスミッションのレポートだけで文字数を埋めてしまったが、シャシーについても数々の魅力がある。ただ、この点については現段階での評価を差し控えたい。335iクーペを試乗したときには、同じ3シリーズのセダンやツーリングから格段の進化を遂げているように感じた。だが、つい最近になってセダンとツーリングにも335iが追加されたのだ。その走りをまだ試していない。ひょっとすると、3シリーズ自体がクーペと同様に、より正確なハンドリングを実現し、より優れたスタビリティを確保していて、より洗練された快適性を提供してくれるかもしれない。大いに期待したいところである。 Report:萩原秀輝 |

